SPA24HGOODSMILE RACING & TYPE-MOON RACING スパ・フランコルシャン24時間レース

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ワンホビギャラリー 2019 SPRING 2019.05.25-05.26
ワンホビギャラリー 2019 SPRING 2019.05.25-05.26

SPA24H?

レース名称 スパ・フランコルシャン24時間レース(正式名 Total 24 hours of Spa)
開催日時 2019年7月25日(木)〜28日(日)
開催場所 スパ・フランコルシャン・サーキット(ベルギー)

スパ・フランコルシャン24時間レースは、F1 ベルギー・グランプリの開催地としても有名なスパ・フランコルシャン・サーキットで、1924年より行なわれている伝統ある耐久レースです。
フランスのル・マン24時間レース、アメリカのデイトナ24時間レースとともに『世界三大耐久レース』に数えられています。
近年はヨーロッパの人気レース「ブランパンGT シリーズ」の1戦として開催されており、世界中のGT3カーが集まり、GT3世界一決定戦の様相を呈しています。
なお、ピレリタイヤのワンメイクレースです。

日本車の総合優勝は1981年のマツダRX-7と1991年の日産スカイラインGT-Rの2度、日本人ドライバーの優勝は服部尚貴選手により1991年に達成されましたが、日本チームとしての優勝は未だにありません。


NEWS

■ スパ・フランコルシャン24時間レース参戦について
https://www.goodsmile.info/ja/post/4877/

■ ワンダーフェスティバル 2019[夏]にてパブリックビューイングを開催!
http://whl4u.jp/booth/

■「GOODSMILE RACING & TYPE-MOON RACING 2019 SPA24H テストデイ Ver.」ご予約受付中!
https://goodsmile.link/2xRSgrk

■「Team Black Falcon Art Car design by Good Smile」のお知らせ
https://www.goodsmile.info/ja/post/4947/

■「ねんどろいど ネロ・クラウディウス レーシングVer.」、「ねんどろいど ジャンヌ・ダルク レーシングVer.」、「ねんどろいど アルトリア・ペンドラゴン レーシングVer.」の予約受け付け開始!
ねんどろいど ネロ・クラウディウス レーシングVer.
ねんどろいど アルトリア・ペンドラゴン レーシングVer.
ねんどろいど ジャンヌ・ダルク レーシングVer.

REPORT

Intercontinental GT Challenge
Blancpain GT World Challenge Europe
TOTAL SPA 24 HOURS

会期:2019年7月25~28日
場所:スパ・フランコルシャン(ベルギー)
天候:7月25日〜26日=晴れ 7月27~28日=雨
予選:38位
決勝:リタイア(10時間48分、217ラップ)


■Free Practice/Qualify

「惨敗という2文字では足りないくらい」。谷口信輝選手がそう振り返る、GOODSMILE RACINGの2017年のトタル・スパ24時間への初挑戦。SUPER GTのトップチームとして挑んだGT3カー世界最高峰の戦いだったが、不幸なクラッシュに巻き込まれ、朝を迎える前にレースを終えることになってしまった。
あれから2年。ふたたびGOODSMILE RACINGはスパに挑むことになった。

今回、GOODSMILE RACINGはドイツの強豪でニュルブルクリンク24時間優勝経験もあるブラックファルコンとコラボレーションすることになった。車両にあしらわれたのは、今年15周年を迎えた『Fate』。チーム名は『GOODSMILE RACING & TYPE-MOON RACING』に決定し、ドライバーは谷口信輝選手、片岡龍也選手、そしてAMGが信頼をおくアダム・クリストドウロウ選手に決まった。
また、『Fate』の車両デザインを見たブラックファルコンから、参戦する他の2台のマシンのカラーデザインもGOODSMILE RACINGに依頼され、AMGドライバーたちが乗る4号車は『プロメア』、シルバークラスに参戦する6号車は『初音ミク』をカラーリングにまとった。

レースウイークに先立つ7月2日・3日、チームは公式テストに参加した。しかしここでの走行初日、片岡選手がスパの名物コーナー、オー・ルージュでクラッシュを喫してしまう。
これを受けてレースウィークに向けては、AMGの所有車輌を借り受け、デザインをリファインしたカラーリングを施して臨むことになった。

7月22日、レースウィークに備えてチームはベルギーに飛んだ。この週はヨーロッパ全体が異常気象で、日中は連日40℃前後の酷暑となっていた。日本から参加したメカニックたちは、大粒の汗をかきながら準備作業に追われる。
24日に恒例のパレードを終え、25日はクオリファイ。まずはフリープラクティスで、クリストドウロウ選手を中心にブレーキの焼入れなどレースに向けた準備を詰めていく。00号車のフィーリングは良好だ。
そして同日午後のプレクオリファイと呼ばれるセッションを終えると、息つく間もなくクオリファイが始まる。15分ずつの4セッションで参加する全ドライバーがそれぞれアタックし、チームの平均ラップタイムで順位を決する。

4人体制チーム専用の予選1はパスし、予選2。まずは谷口選手がコースに出るが、過去最高となる参加車輌72台が一斉にコースに出ている為、長い7kmのサーキットとは言ってもクリアラップをとるのはひと苦労。谷口選手はなんとか2分21秒839記録し、予選3を担当する片岡選手に交代する。片岡選手もクリアラップ獲得に苦労しながらも、2分21秒343をマークした。
予選4を担当したのはクリストドウロウ選手。スパ24時間レースは過去に8回参加経験があり、他のレースでもスパは頻繁に走るという同選手はさすがにここでの戦い方を知っている。2分19秒961という好タイムをマークした。
3人のタイムの平均値で争った結果は38番手。上位20台で競われる翌日のスーパーポール進出は叶わなかった。

7月26日の走行は30分間のウォームアップセッションと、30分間のスーパーポールのみ。チームはウォームアップセッションで翌日の決勝レースに向けて最後の調整を行い、スーパーポールに首位で進出していたチームメイト、Mercedes-AMG Team Black Falcon 4号車のタイムアタックを見守った。
このアタックを担当したマーロ・エンゲル選手は、計測2周目に2分18秒588を記録して見事にポールポジションを獲得した。『プロメア』のカラーリングをまとった仲間のマシンのポール獲得に、チームの士気は大いに上がった。


■決勝レース

7月27日決勝日。それまでの晴天と酷暑がウソのように曇り空が広がり、気温も下がった。しかも昼すぎからは雨の予報となっていた。 続々とサーキットにファンが詰めかけるなか、現地時間13時頃には予報通りに雨が落ちはじめ、スタート1時間前には土砂降りに。コースはこの週初めてのウエットコンディションとなった。
雨は徐々に小ぶりになり、スタート時刻の16時30分にはほぼ上がっていた。少しずつ路面の水が引いていくなかで24時間レースの幕が切られた。

00号車のステアリングを最初に握ったのはクリストドウロウ選手。3周のセーフティカーランを経てグリーンフラッグが振られると、クリストドウロウ選手は猛然とプッシュを開始し、濡れた路面とは思えない勢いでポジションを上げはじめた。同選手のスティントでは6時間に一度使用が許される『ジョーカー』ピットストップも活用し、13番手までポジションを上げていく。猛追を終えたクリストドウロウ選手は片岡選手に交代した。

 序盤はクラッシュが多発し、フルコースイエロー(FCY)やセーフティカー出動が頻繁に発生する。スタートから2時間が近づこうかという頃には、ケメルストレートエンドで37号車BMWがガードレールに激しく激突した為、その補修のために長いFCYも導入された。そんな波乱の展開のなか、片岡選手は途中FCYが長かったこともあり、トリプルスティントをこなし、21時ほぼちょうどに谷口選手にバトンを渡した。

 谷口選手も順調に周回を重ねてはいたものの、21時39分ごろ、レ・コームでスピンを喫してしまう。幸いマシンに破損はなくそのまま周回したが、これによって25番手前後まで順位を落としてしまった。その後22時30分頃ふたたび雨が落ちはじめ、すぐに強くなったため急遽レインタイヤに交換し、谷口選手もスリースティントを走る。

23時34分にクリストドウロウ選手に交代する頃には雨は小降りとなり、まだ路面が濡れている状態ながら、クリストドウロウ選手からの提案もあってスリックタイヤへの交換を決断した。このチョイスはやや早すぎた為に、しばらく他車についていけない状況に陥ったが、スリックがレインのタイム上回る『チェンジオーバー』のタイミングが訪れると、クリストドウロウ選手はライバルを大きく上回るペースでラップをこなした。

午前2時。低く垂れ込めた雲から注ぐ細かな霧雨のなか、コース上のアクシデントによりフルコースイエローからセーフティカーに切り替わるなか、ダブルステインとを終えたクリストドウロウ選手からふたたび片岡選手に交代。この頃には路面は濡れてはいるが、雨量も減り乾きはじめていた。

片岡選手はクリストドウロウ選手と同様にスリックを履き、路面の乾き具合を確認しながらペースを上げる。フィーリングも良く、順位も20番手を見据える位置だ。前回の挑戦でクラッシュしてしまった10時間40分を過ぎ、ピットにはひとまずの安堵の空気。片岡選手はピットインしてダブルスティントに突入していた。 その直後、パドックに大粒の雨が降り注いだ。それとほぼ同時にタイミングモニターには『FCY』の表示と、『00 HIT THE BARRIER』という信じがたい文字が表示された。片岡選手に何かアクシデントが……!? まさかの事態にピットは騒然となった。

乾きはじめた路面でペースを少しずつ上げていた片岡選手が超高速コーナーとして知られるブランシモンに差しかかった瞬間、パドックにも注いでいた強い雨が降りはじめており、片岡選手はその雨を認識する間もなく水に乗ってしまいスピン、高速のままタイヤバリアに激突し、車両の前後を大破してしまっていたのだ。

前回の記録を突破した喜びから、わずか10分ほどでのアクシデント。もし片岡選手が、ブランシモンに差し掛かる前、または抜けてからの雨ならば、まだ対処のしようもあったはず。チームは悔しさとも悲しみともつかない表情で、リタイアという現実を受け入れざるを得なかった。

今回の挑戦は、10時間48分、周回数217ラップで前回の結果からプラス約10分でのリタイヤという結末に終わった。
しかし、強豪ブラックファルコンと組んだことで、GOODSMILE RACINGのエンジニア、メカニック、スタッフ、そしてドライバー全員が得られたものは大きかったと言える。この経験を糧に、GOODSMILE RACINGはSpaと同じフォーマットの8月の鈴鹿10時間レースに挑む。


■チーム関係者コメント

安藝貴範代表

残念です! 前回より10分多く走ることができましたが、なかなか朝を迎えることができません。
ただ今回組んだブラックファルコンから得られるものは多かったと思います。前回とは雰囲気も違いましたし、24時間レースに向けた積み上げ方が、日本のチームとは別のものを感じましたね。僕たちはふだんずっと同じメンバーで阿吽の呼吸がありますが、今回、しっかりとコミュニケーションをとってチームを作っていく過程に携わり、指示をしっかりしていく体制はすごく良くできていたと思います。どちらがいい、悪いではありませんが、海外のやり方をより強く感じたレースでした。良い経験だったと思います。
また、今回ブラックファルコンの他の2台にもカラーリングを施しましたが、思っていた以上に影響の大きなことができたと感じています。日本のポップカルチャーを『クールだ』と捉えてくれる風潮はやはり世界中にあって、日本人が想像している以上に評価されています。いろいろなところに僕たちの潜在的なファンや賛同してくれる人たちがいる事を改めて実感できました。

片山右京監督

予選では少し失敗もあったかもしれませんが、決勝レースに向けて伸びしろがあることは分かっていましたし、追い上げてくれていたので、こういう結果に終わってしまったのは本当に残念ですね。途中、タイミングモニターでは5番手まで上がっていたときがあって、ピットのシーケンスの違いはあっても、トップ10が見える位置にはいたと思っています。
結果として天候に翻弄されてしまいましたが、これもレースの一部なので仕方ないです。ただ、こうしてみんなが、ここまで濃い経験をすることができましたし、ピレリをこれだけ使っているチームは他にないでしょうし、鈴鹿10時間レースに向けてはもちろん、SUPER GTも含めて、いい経験をさせてもらったのではないでしょうか。

谷口信輝選手

2年ぶり、二度目のチャレンジのスパ24時間でしたが、今回こそはちゃんと24時間走りきり、そしてそれなりの順位で帰りたいという意気込みでしたが、結果としては前回の終了時間より10分くらい伸びただけの結果になってしまいました。今回はブラックファルコンという強力なチームとジョイントさせてもらい、クリストドウロウ選手というAMGを良く知るドライバーと組むことで、いろいろ勉強になりました。彼のおかげで序盤上位を走ることもできましたが、そこでチームに欲が出てしまったかな……という感じも個人的には思います。
いま思うと、安全を考えて路面が濡れているときはウエットタイヤでいった方が良かったのかもしれません。残念な結果で終わってしまい、応援してくださった皆さんには申し訳ないと思っていますが、これもレース。なかなかうまくいかないからこそ、うまくいったときに喜べます。はやく喜びたいです!

片岡龍也選手

テストデーでもクラッシュがあったので、今週末はワンランク実力を上げたい気持ちがある一方、絶対に完走という結果が欲しいと思っていました。レースは慎重に進めていきましたが、マシンの調子は良く、最初のスティントでも充分戦える手ごたえを掴めていました。
夜、路面がわずかに濡れた状況のなかでも、まわりの集団に比べても速いペースで走れていました。そこで路面も乾きはじめ、やっとペースもドライに近づいていたと思ったところで、雨が降っていることも気づかないくらい、突然グリップを失ってしまいました。クルマから下りたときに初めて強い雨が降っていることに気づいたくらいです。正直予想できていなかったシチュエーションでした。スパウェザーと呼ばれる突然変わる天候に対する経験不足とも言えますし、そもそも24時間レースで100%に近いところで走るべきではなかったのかもとも思います。結果的にクラッシュしてしまい、第一の目標としていた完走に届かなかったので、チーム、安藝代表、すべての関係者の皆さん、ファンの皆さんに対して申し訳ないと思っています。
ただ、速さの面ではトップに大きく劣らないところで走れましたし、世界の舞台での自分の可能性を改めて試せるチャンスを頂いた事には、とにかく感謝しています。

アダム・クリストドウロウ選手

フリープラクティスのフィーリングは良かったのに、予選ではクリアラップがうまくとれず、3人のラップタイムを揃えることができませんでした。結果、決勝レースでは38番手スタートとやや後方からのスタートになってしまいましたが、そんなポジションからのスタートに対してエンジニアやチームが正しい判断をし、いいタイミングでピットインを行ってくれたので、すぐに13番手まで上がることができました。TK、NOBも異常な天候のなかで素晴らしい走りをみせてくれたし、そんな状況でもマシンは常に安定していました。ただ、僕のスティントでスリックに換えたのは、路面の状況を考えると、ちょっと楽観し過ぎていたと今は思います。
全体的にはとても楽しい週末でした。チームとしっかり溶けこんでレースを戦うことができたんだ。素晴らしいチームと仕事ができていただけに、結果を残すことができなかったのは本当に残念です。GOODSMILE RACINGは情熱に満ちあふれていて、パフォーマンスも強力だった。チームと楽しめていただけに、なおさら悔しいと思っています。またこのチームでレースをしたいですね。

小林可夢偉

こうしてドライブはせず、チームの一員として客観的にいろいろなレースの状況を観ることができたのは初めての体験でした。個人的にはすごく勉強になりましたし、自分がドライブする鈴鹿10時間レースに向けても、いろいろな課題が見えたと思っています。最終的には残念な結果になってしまいましたが、これを何かに活かせるようにしなければいけないと思いますし、GOODSMILE RACINGのファミリーの一員として、鈴鹿でドライブする身として、この経験をしっかりと役立てていきたいと思っています。

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